脂肪吸引は、美容外科手術の中でも、よく知られている施術のひとつです。
日本の美容外科手術のうち、脂肪吸引が占める割合は約11%とされています。(JSAPS調べ)
ただし、その中で多いのは顔の脂肪吸引です。
太もも・お腹・二の腕・腰・背中など、身体の脂肪吸引は、美容医療全体で見ると決して件数の多い手術ではありません。
つまり、脂肪吸引自体は有名な施術ではあるものの、どのクリニックでも経験豊富に行われているわけではないということです。
脂肪吸引は、単に「脂肪をたくさん取ればよい」という手術ではありません。
太いカニューレ、つまり吸引管を使って長く吸引すれば、脂肪を多く取ること自体はできます。
しかし、本当に大切なのは、しっかり細くしながら、凹凸のない自然なラインに仕上げることです。
どこをどのくらい取るのか。どこに脂肪を残すのか。
この判断によって、脂肪吸引後の仕上がりは大きく変わります。
今回は、脂肪吸引後に起こる「凹凸」の原因について解説します。
脂肪吸引後の凹凸は、医学的には表面不整と呼ばれます。
皮膚の表面が波打って見えたり、一部だけへこんで見えたり、動いたときに皮膚が引きつれるように見える状態です。

脂肪吸引後の凹凸が起こる頻度は、部位や報告によって差があります。
例えば腹部では、約5〜19%前後で表面不整が起こるとされています。
では、なぜ脂肪吸引後に凹凸ができてしまうのでしょうか。
主な原因を順番に見ていきます。
脂肪吸引後の凹凸で、もっとも大きな原因のひとつが脂肪の取りすぎや取りムラです。
脂肪吸引では、脂肪を均一に取ることがとても重要です。
一部だけ脂肪を取りすぎると、その部分だけ皮膚の下のボリュームが減り、表面がへこんで見えてしまいます。
特に注意が必要なのは、皮膚に近い浅い層の脂肪です。
浅い層を必要以上に吸引すると、皮膚表面に凹凸が出やすくなります。
また、同じ場所を長く吸引しすぎることも、へこみの原因になります。
脂肪が均一に減らず、一部だけ薄くなってしまうためです。
さらに、カニューレを入れる切開部の近くも、脂肪が取れすぎやすい部位です。
器具が何度も通るため、知らないうちにその周辺だけ吸引量が多くなり、へこみにつながることがあります。
以前流行した、いわゆる「カリカリ」「ペラペラ」を目指す脂肪吸引では、脂肪を取りすぎたことによる凹凸が問題になるケースもありました。
細さを出すことは大切ですが、脂肪を取りきることと、美しく仕上げることは別物です。
脂肪吸引では、脂肪だけでなく、その周囲の組織にもある程度のダメージが加わります。
通常、術後の腫れや硬さは時間とともに落ち着いていきます。
しかし、組織への負担が大きい場合、皮膚の下で硬い瘢痕(はんこん)や線維化が起こることがあります。
瘢痕や線維化とは、簡単にいうと、体の中に硬い傷あとができるような状態です。
この硬い組織が皮膚の下で引きつれを起こすと、表面に凹凸として見えることがあります。
また、皮膚とその下の筋膜が癒着してしまうこともあります。
この場合、じっとしているときは目立たなくても、体を動かしたときに皮膚が引き込まれるように見えることがあります。
脂肪吸引でできるだけ細いカニューレを使用するのは、組織へのダメージを抑えるためです。
細いカニューレで丁寧に吸引することで、余計な組織損傷を減らし、凹凸や硬さのリスクを抑えやすくなります。
また、ベイザーなどの超音波機器や、VIBROFITのようなパワーアシスト機器を併用することもあります。
これらの補助デバイスを適切に使うことで、脂肪を取りやすくし、組織への負担を減らしながら吸引できる可能性があります。
ただし、機械を使えば必ずきれいになるわけではありません。
大切なのは、機器の性能だけでなく、それをどう使いこなすかという医師の技術と経験です。
脂肪吸引後の仕上がりには、術後の圧迫も関係します。
術後は、腫れや内出血を抑え、皮膚と内部組織をなじませるために圧迫着を使用します。
しかし、圧迫着が体に合っていなかったり、しわや折れ目が同じ場所に強く当たり続けたりすると、その部分に跡がつくことがあります。
その結果、へこみや段差のように見え、凹凸を助長してしまうことがあります。
また、長時間同じ姿勢で過ごすことも注意が必要です。
一部だけに強い圧がかかり続けると、むくみの偏りや圧迫跡が生じ、表面の不整が目立ちやすくなることがあります。
脂肪吸引後は、ただ圧迫すればよいわけではありません。
圧迫着のサイズ、着用時のしわ、圧のかかり方にも注意することが大切です。
術後の過ごし方については、自己判断せず、クリニックの指示に従いながら経過を見ていくことが重要です。
脂肪吸引後の凹凸は、脂肪の取り方だけでなく、皮膚の状態にも大きく左右されます。
脂肪を取ったあと、皮膚が自然に縮んでくれると、なめらかなラインに仕上がりやすくなります。
一方で、皮膚の弾力が弱い方や、もともと皮膚の余りがある方では、脂肪を取ったあとに皮膚が十分に引き締まらないことがあります。
その結果、皮膚が余ってヨレたり、たるみとして残ったりして、凹凸のように見えることがあります。
特に注意が必要なのは、以下のようなケースです。
脂肪吸引では、浅い層の脂肪をあえて吸引し、皮膚の収縮を促すテクニックを用いることもあります。
これはSuperficial liposuction(表層脂肪吸引)と呼ばれる方法です。
ただし、浅い層を攻めすぎると、皮膚が縮みすぎたり、引きつれたり、シワのような凹凸が出ることもあります。
そのため、脂肪をどこまで取るかだけでなく、その人の皮膚がどのくらい縮むかを術前に見極めることが重要です。
皮膚の収縮力が弱いと判断される場合には、浅い層の脂肪をあえて残すこともあります。
「取れるだけ取る」のではなく、仕上がりを考えて残す。
これも脂肪吸引における大切なデザインです。
脂肪吸引後の凹凸は、ひとつの原因だけで起こるわけではありません。
脂肪の取りすぎ、取りムラ、組織へのダメージ、圧迫の問題、皮膚のたるみなど、さまざまな要因が重なって起こることが多いです。
なめらかな仕上がりを目指すためには、脂肪を均一に吸引する技術だけでなく、術前の診察で皮膚の状態を正しく見極めることも重要です。
特に身体の脂肪吸引では、顔の脂肪吸引とは異なり、吸引範囲が広く、デザインの難易度も高くなります。
そのため、脂肪吸引の経験が豊富な医師に相談することが大切です。
脂肪吸引は、脂肪をたくさん取れば成功する手術ではありません。
本当に大切なのは、必要な脂肪をしっかり取りながら、凹凸のない自然なラインに仕上げることです。
そのためには、脂肪の取り方、皮膚の状態、術後の圧迫管理まで含めて、総合的に判断する必要があります。
脂肪吸引後の凹凸や失敗のリスクを少しでも減らしたい方は、脂肪吸引を専門的に行っているクリニックで相談することをおすすめします。
当院では、ご紹介した凹凸の修正も行っております。
適切な脂肪を吸引し、脂肪注入することで滑らかな表面に戻せる可能性がございます。
他院ですでに脂肪吸引をして、悩んでいる方一度カウンセリングにお越しください。
[ 監修 ]
脂肪吸引ラボトウキョウ 院長
渓 智司
形成外科出身。これまで4000症例を超える脂肪吸引・豊胸手術を執刀(※2021年9月〜2025年12月)。従来の美容クリニックで問題となりがちな、料金体系、安全性、アフターフォローを刷新した次世代のクリニックとして「脂肪吸引ラボトウキョウ」を開院。